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どうして私は幸せになれないの? 周りの人の目を気にするのをやめよう

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「私はどうして幸せを感じられないんだろう…」

そう思ったことはありませんか?
毎日頑張っているのに、なんとなく満たされない。そんな気持ちの背景には、「周りの目を気にしすぎていること」が関係しているかもしれません。

今回は、心理学や社会学の研究をもとに、「人の目を気にして生きること」がなぜ私たちの幸せを奪ってしまうのか、そしてどうしたらそこから抜け出せるのかを、わかりやすくお話しします。

SNSがつらく感じる理由:他人と比べてしまうから

私たちは無意識のうちに、他の人と自分を比べてしまうことがあります。これを「社会的比較」といいます。

たとえば、SNSで友だちが楽しそうにしている写真や、成績がよかった話などを見たとき、「自分はダメだな…」と感じてしまった経験はありませんか?

実際、心理学者のリュボミルスキーとロス(1997)は、「不幸せな人ほど、他人との比較によって気分が落ちやすい」と話しています。逆に、幸せな人は他人の成功にあまり影響されません。

特に日本では、「他人と比べすぎないこと」「自分のペースを守ること」が幸福感を高めるとする研究もあります。つまり、「私は私、他人は他人」と思えることが、心の安定につながるのです。

他人に認められたい…それって本当に幸せ?

「いいね」がたくさん欲しい
「すごいね」と言われたい
「見た目がキレイ」と思われたい

こんなふうに、他人からの評価を求めてしまう気持ちは誰にでもあります。でも、そればかりに振り回されると、かえって不安やストレスがたまっていくことが研究でわかっています。

心理学の「自己決定理論」によると、人が本当に満たされるのは、自分の興味や成長、人とのつながりなど、「自分の内側からの目標(内発的動機)」に取り組んでいるときです。

一方で、「お金持ちになりたい」「有名になりたい」「モテたい」などの「外側からの目標(外発的動機)」ばかり追い求めていると、幸福度は下がりやすいことが研究で明らかになっています。

「自分をよく見せよう」としすぎると苦しくなる

友だちと話すとき、「こんなこと言ったら変に思われないかな」と考えすぎたり、本当の自分を隠してしまうことはありませんか?

人は社会の中で生きるため、ある程度「自分をよく見せよう」とする(印象管理)ことは必要です。でも、これが行き過ぎると、心の中にズレが生まれてしまいます。

たとえば、「本当はいやだけど、断れない」「いつもいい子を演じてしまう」など、自分の気持ちを押し殺してばかりいると、次第にしんどくなります。

実際に、心理学の研究では「自分を偽って生きている人」は、「本当の自分でいられている人」よりも不安が強く、幸福度が低いことが示されています。

「世間体」を気にする文化と日本の幸福度

日本では、「空気を読む」「みんなと同じにする」「目立たないようにする」といった文化が根強くあります。

「出る杭は打たれる」「みんなと違うことをしたら変に思われる」
そんなふうに感じて、やりたいことがあっても我慢してしまう人も多いかもしれません。

けれど、研究によると、「自分らしく生きている人」ほど、幸せを感じやすいという結果が出ていて、「ありのままの自分でいること」が、日本人の幸福の柱の一つであることがわかりました。

周りに合わせすぎたり、無理に関係を続けたりすることは、かえって心を苦しめてしまうのです。

「他人にどう見られるか」より、「自分がどう生きたいか」

じゃあ、どうしたら「人の目を気にしすぎない自分」になれるのでしょうか?

人は、自分の見た目や評価を気にするより、他人の幸せを考えるほうが幸福感が高くなると言われています。

つまり、自分がどう見えるかばかり考えるのではなく、「誰かをちょっと助ける」「優しく声をかける」といった他人思いの行動が、私たち自身の幸せにもつながるということです。

また、日々の中で「これをやっていて楽しい」「これが自分らしい」と思えることに時間を使うようにすると、自分軸が育ち、他人の目が気にならなくなっていきます。

最後に:自分の心に素直に生きよう

「周りにどう見られているか」を気にしすぎると、本当の自分を見失ってしまいます。

  • SNSで他人と比べるのをやめてみる
  • 誰かに褒められるためではなく、自分の「やりたい」で動いてみる
  • 無理な人間関係は手放して、自分を大切にしてくれる人と過ごす

そんなふうに、「自分の心に素直に生きること」が、幸せへの近道なのです。

あなたはあなた。
他人の目を気にせず、自分の人生を、自分らしく生きていきましょう。

主な参考文献

  • Kasser, T., & Ryan, R. M. (1996). Further examining the American dream: Differential correlates of intrinsic and extrinsic goals. Personality and Social Psychology Bulletin, 22(3), 280–287.
  • Kasser, T., et al. (2014). Changes in materialism, changes in psychological well-being: Evidence from three longitudinal studies and an intervention. Motivation and Emotion, 38(1), 1–22.
  • Lyubomirsky, S., & Ross, L. (1997). Hedonic consequences of social comparison: A contrast of happy and unhappy people. Journal of Personality and Social Psychology, 73(6), 1141–1157.
  • Maeno, T., et al. (2011). 幸福・性格・欲求の調査アンケートに基づく幸福感の関係解析 [Analysis of the relationship of happiness based on a survey of happiness, personality, and desires]. Keio University.
  • Yeo, G. H., et al. (2023). How do aspects of selfhood relate to depression and anxiety among youth? A meta-analysis. Psychological Medicine, 53(12), 5194–5204.
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ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
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ずっとピースらぼ管理人のわんぞーです。イギリスの大学院で平和学を学び、その後国際協力の専門家や大学の教員として仕事をしてきました。平和について中学生や高校生にもわかりやすい内容を届けることで、少しでも争いのない世界になればいいな、と思っています。 At Eternal Peace Lab, we aspire to contribute to a world without conflict by providing accessible content about peace for both students and adults.
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