そもそも国境ってどうしてできたの?

みなさんはそもそも「国境」って、どうしてあるんだろう?と考えたことはありますか?
日本は島国なので、海が自然の国境になっていますが、大陸の国々では陸地の上に見えない線が引かれていて、それぞれの国を分けています。でも、そもそも国境って、いつどうやってできたのでしょうか?なぜ必要で、どんな問題があるのでしょうか?
今回は、国境の歴史や意味について、できるだけわかりやすく説明してみます。
昔の人たちは「国境」をどうしてたの?
今のように地図でピシッと線が引かれた国境ができる前、人々はどうやって土地を分けていたのでしょうか?実は、昔の人たちは「この川の向こうは他の部族の土地」とか、「この山を越えたら別の領主の支配地」といったように、自然の地形やざっくりした感覚で土地を分けていました。
たとえば、中世のヨーロッパでは「辺境(へんきょう)」という言葉がよく使われていて、これは「国のはしっこ、力が届きにくい場所」という意味です。つまり、はっきりとした線引きはなく、力のある者がどこまで支配できるかが、その人の「国」だったのです。
国境を生んだ歴史的な大事件とは?
では、現在のような「明確な国境」がどうやってできたのか。そのきっかけは、1648年に結ばれた「ウェストファリア条約」という国際的な取り決めでした。
この条約は、ドイツ周辺で続いていた「三十年戦争」という大きな戦争を終わらせるために作られたもので、ヨーロッパ各地の国々が「これからは、他の国の内政に口を出さない」「それぞれの国は、自分の領土をしっかり持ち、他の国から干渉されない権利がある」と決めました。
この考え方は「主権国家(しゅけんこっか)体制」と呼ばれます。つまり、「自分の国の中では、自分たちが決めたルールで動く」という仕組みです。このときから、「ここからここまでがうちの国」と明確に線を引く国境の考え方が広がっていったのです。
国境があることで得られるメリット
国境があることで、さまざまな良いことがあります。
- 国のルールを守れる:それぞれの国が独立して自分たちの法律や制度を作れるので、自由に政治を行えます。
- 安全を守れる:外から危ない人や物が入ってこないように、国境でチェックできるので、国の安全を保ちやすくなります。
- 文化や伝統を守れる:国境の内側で同じ言語や文化を共有することで、その国ならではのアイデンティティ(自分らしさ)を守ることができます。
- 国際関係のルールができる:国と国との関係が「対等」として認められるので、お互いに話し合いや協力がしやすくなります。
でも、国境にはデメリットもある
一方で、国境があることで困ることもあります。
- 人や物の移動が制限される:国境を越えるにはパスポートやビザが必要で、自由に行き来するのが難しくなります。
- 争いの原因になる:国境がどこにあるかをめぐって戦争になることもあります。たとえば、「あの山の向こうはうちの土地だ!」といった主張で対立が生まれます。
- 差別や排外主義が生まれやすい:国境によって「内」と「外」がはっきりすることで、外国人に対する偏見や差別が起こりやすくなります。
国連の「一国一票」ってなに?
国際社会では、国際連合(国連)という大きな組織があります。ここでは、「一国一票(いっこくいっぴょう)」というルールが使われています。つまり、大きな国も小さな国も、1つの国は1票の投票権を持っているという考え方です。
これも、国境によって「ここからここまではこの国」という区分けがあるからこそできる仕組みです。そしてこの制度は、「すべての国は対等であるべき」というウェストファリア条約の考え方を受け継いでいます。
おわりに
国境は、ただの「線」ではありません。そこには、歴史、戦争、文化、そして国際的なルールが深く関係しています。国境があることで国は守られますが、同時に人や文化を分けてしまうこともあります。
私たちが国境という言葉を聞いたとき、その背景にある複雑な歴史や人々の思いにも、少し目を向けてみると、世界の見え方が変わってくるかもしれません。