世界平和のつくりかた-宇宙人が攻めてきたら?

「戦争のない世界」――そんな理想を誰もが一度は思い描いたことがあると思います。でも、現実には、国と国が争ったり、人と人がぶつかったりするニュースが絶えません。なぜでしょうか?
人間は、どうしても“敵”を作ってしまう生き物です。違う考え方、違う文化、違う国。そうした「違い」がぶつかると、「自分たち vs 相手たち」という対立が生まれてしまいます。では、どうすれば本当に世界が一つになれるのでしょうか?
最も簡単な「世界平和つくりかた」は、「宇宙人が地球に攻めてくる」ことです。突拍子もない話に聞こえるかもしれませんが、実はこのアイデアには、人間の心理に深く根ざした重要なポイントがあるのです。
人間は「敵」がいると団結する
私たち人間には、歴史的にも心理学的にも、「共通の敵」が現れたときに一致団結するという性質があります。
たとえば、戦争や災害、テロのような大きな脅威が発生すると、普段は対立していた国同士や人々が協力し合う場面が多く見られます。これは「敵の敵は味方」という考え方に基づいていて、自分たちに共通する脅威があると、それを乗り越えるために協力し合うという行動が起きやすくなるのです。
つまり、共通の「敵」や「課題」が存在すれば、人々は争いをやめて力を合わせるようになるのです。
映画「インディペンデンス・デイ」に見る人類の団結
この考え方を象徴的に描いたのが、1996年に公開されたアメリカの映画『インディペンデンス・デイ』です。
この映画では、地球が突如として巨大な宇宙船に襲撃され、人類が滅亡の危機に立たされます。アメリカやロシア、中国、中東諸国など、普段は対立していた国々が団結し、全人類が協力して宇宙人に立ち向かう様子が描かれています。
映画の中で、アメリカ大統領は「今日、我々は人類として団結する」と宣言し、国境や宗教、民族を超えて、人類が一つになる場面はとても印象的です。宇宙からの脅威という「共通の敵」が、世界中の人々を結びつけたのです。
この映画はフィクションですが、もし本当に地球外からの侵略があれば、世界中が団結する可能性は十分にあります。
実際に宇宙人が来なくてもいい?
では、実際に宇宙人が攻めてこない限り、世界平和は実現できないのでしょうか?そうとも限りません。
重要なのは、「共通の敵がいる」とみんなが認識することです。つまり、宇宙人という存在そのものではなく、それを通じて「全人類が協力する理由」をつくることが大切なのです。
たとえば、気候変動、感染症、核兵器の脅威、AIの暴走といった「地球規模の課題」を、ある意味で“共通の敵”としてとらえることができれば、それに立ち向かうために世界が協力する道が開けるかもしれません。
偽の宇宙人襲来を演出することで、人類を団結させられるかもしれません。現実的には倫理や安全の問題が大きいため難しいですが、「人類が一つになるには、共通の危機意識が必要である」という点は、多くの人が考えたことがあると思います。
宇宙人が教えてくれる「本当の敵」
本当の敵は、宇宙人ではないかもしれません。むしろ私たち人間の中にある「違いを認められない心」「自分たちだけが正しいと思い込む心」「争いによって問題を解決しようとする心」が、平和への最大の障害になっているのではないでしょうか。
宇宙人という架空の存在は、それを私たちに気づかせてくれる鏡のような存在かもしれません。
だからこそ、宇宙人が本当に攻めてくる日が来る前に、「共通の敵」に立ち向かうために世界中が協力する姿勢を、自分たちで築いていく必要があるのです。