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差別や偏見をなくすにはどうすればいいの? 「アンコンシャス・バイアス」を理解しよう

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みなさんは初めて会った人に対して、相手のことを深く知らないまま「この人って〇〇そう」とか「なんとなくこういう人は苦手かも」と思うことはありませんか?

実は、そうした“なんとなく”の思い込みは、知らないうちに相手を傷つけたり、不公平な判断につながっていることがあるんです。

今回は、そうした無意識の思い込み「アンコンシャス・バイアス」について、一緒に考えてみましょう。

「アンコンシャス・バイアス」ってなに?

「アンコンシャス・バイアス」は日本語にすると「無意識の偏見」と言います。

つまり、気づかないうちに「この人はこうだ」と決めつけたり、「こうあるべき」と思い込んでしまう心のクセのことです。たとえば、

・男の子は運動が得意
・女の子はおしゃべりが好き
・外国人はみんな英語が話せる

こんなふうに、本人に悪気がなくても、つい「そう思ってしまう」ことはありませんか?

それが「アンコンシャス・バイアス」です。

なぜ「アンコンシャス・バイアス」が生まれるの?

人は、毎日たくさんの情報にさらされながら生きています。

脳はその情報をすばやく整理して、行動や判断をしないといけません。

そのとき、過去の経験やテレビ、ネット、周りの人たちから聞いたイメージなどが無意識のうちに影響して、「こういう人はこうだ」と決めつけるクセができてしまうのです。

これは、もともと太古の昔から人間が身を守るために備わってきた能力です。

たとえば知らないものを見たときに、過去の経験から「これは危ないかもしれない」とすばやく判断することで、危険から身を守ってきました。
このように、瞬時に決めつける力は生き延びるために役立ってきたのです。

でも現代社会では、その脳のクセが差別や偏見につながりやすくなっているのです。

「アンコンシャス・バイアス」が社会に与える影響

「アンコンシャス・バイアス」は、気づかないうちに大きな問題を引き起こすことがあります。

たとえば…

・女性だからリーダーには向かないと思い込んでしまう
・外国人だから日本語が話せないと決めつけてしまう
・年齢が若いから責任ある仕事は任せられないと思う

こうした思い込みは、相手の能力や個性を正しく評価せず、不公平な扱いを生むことになります。

それが積み重なると、就職、昇進、教育、日常の人間関係など、さまざまな場面で差別や格差が生まれ、「生きづらい社会」になってしまうのです。

アンコンシャス・バイアスと「構造的暴力」「文化的暴力」

さらに、アンコンシャス・バイアスは、私たちの社会に深く根づいてしまうと、目には見えない「暴力」を生み出す原因にもなります。

ノルウェーの平和学者、ヨハン・ガルトゥングは、「直接的暴力」(ケンカや戦争など目に見える暴力)のほかに、「構造的暴力」と「文化的暴力」という考え方を提唱しました。

構造的暴力とは?

構造的暴力とは、社会の仕組みや制度の中にある不公平や差別のことを言います。

たとえば、ある性別や人種の人が昇進しにくい、教育を受けられない、貧困から抜け出せない、というような「見えにくい不公平」は、まさに構造的暴力です。

この原因の一つが、アンコンシャス・バイアスなのです。

社会の中の多くの人が「〇〇な人はリーダーに向かない」とか「△△な人は能力が低い」と無意識に思い込んでいると、それが積み重なって社会の仕組み自体が不公平になってしまいます。

文化的暴力とは?

文化的暴力は、差別や不公平を「当たり前」「仕方がない」と思わせる考え方や習慣、言い伝えのことです。

「男のくせに泣くなんてみっともない」 「女の子なんだから大人しくしなさい」

こんな言葉は、文化的暴力の一例です。

こうした言葉や価値観が、アンコンシャス・バイアスを強め、人々の行動や考え方を無意識に縛ってしまいます。

つまり、アンコンシャス・バイアスは、構造的暴力や文化的暴力の「土台」となり、不平等や差別がなくならない社会を作り出してしまうのです。

どうすれば「アンコンシャス・バイアス」をなくせるの?

大事なのは、「自分にもバイアス(偏見)がある」と気づくことです。

私たちは誰でも、無意識のうちに偏見や思い込みを持っています。

だからこそ、自分の考えや行動を立ち止まって見直してみることが大切です。

ここでは、今日からできる4つのポイントを紹介します。

「本当にそうかな?」と考えてみる

「男の子は〇〇」「女の子は〇〇」「外国人は〇〇」と思ったときに、「それって本当に正しいのかな?」と自分に問いかけてみましょう。

②いろいろな人と関わってみる

自分と違う背景を持つ人や、普段あまり話さない人と会話をしてみると、新しい考え方や価値観に出会えます。

③相手の立場になって考える

「もし自分が逆の立場だったらどう感じるだろう?」と想像してみましょう。

④思い込みに気づいたら修正する

自分の思い込みに気づいたら、それが「本当に正しいのかな」と考えてみましょう。
もし間違いだったことに気づいたら、素直に考えを修正すればいいのです。

おわりに

みんなが「アンコンシャス・バイアス」に気づき、お互いに思いやりを持てるようになると、こんな良いことが起こります。

・いろいろな人が安心して活躍できる社会になる
・差別やいじめが減る
・お互いの違いを認め合い、協力し合える

つまり、「誰もが生きやすくて、平和な社会」になるのです。

私たちは誰もが知らないうちに「アンコンシャス・バイアス」を持っています。
でも、大事なのは「自分には関係ない」と思わず、「ちょっと気をつけてみよう」と意識することです。

みなさんも、ぜひ今日から始めてみてください。

ABOUT ME
ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
ずっとピースらぼ管理人のわんぞーです。イギリスの大学院で平和学を学び、その後国際協力の専門家や大学の教員として仕事をしてきました。ずっとピースらぼでは、「優しい」と「易しい」の両方の意味をこめて、「やさしい平和教育」を発信しています。中学生や高校生にもわかりやすい内容を届けることで、いつの日か争いのない社会にできたらいいな、と思っています。 |Eternal Peace Lab shares information about easy-to-understand peace education. By delivering content that students can easily grasp, we hope to one day achieve world peace.
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