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アンガーマネジメントってなに? 怒りをコントロールしよう

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「なんであんな言い方するの?」「もうガマンできない!」
日常生活でイライラしたり、怒りがこみ上げたりすることって、誰にでもありますよね。友達とのケンカ、先生に注意されたとき、ネットで嫌なコメントを見たとき…。でも、その怒りをうまくコントロールできずに、物や人に当たってしまったらどうなるでしょう?

そんなときに役立つのが「アンガーマネジメント」という考え方です。今回は、怒りってそもそも何?というところから、怒りをうまくコントロールする方法まで、わかりやすくお伝えします。

そもそも怒りってなに?

怒りは「感情」の一つで、誰もがもっている自然な反応です。たとえば、自分が大切にしていることをバカにされたときや、不公平だと感じたとき、怒りの感情が湧いてきます。

怒りには、「自分を守る」ための役割があります。もし誰かにいじめられたとき、怒りがなければ反論もできませんよね。だから怒ること自体が悪いわけではありません。

でも、怒りにまかせて大声を出したり、手を出したりすると、あとで後悔したり、人間関係が壊れたりすることもあります。だからこそ、「怒りとどうつきあうか」が大事なんです。

アンガーマネジメントって何するの?

「アンガー」は英語で「怒り」、「マネジメント」は「管理する」という意味。つまり、「アンガーマネジメント」とは、怒りを自分でうまくコントロールするための方法です。

これは1970年代にアメリカで生まれた心理学的なトレーニングで、今では学校、会社、病院などいろいろな場所で使われています。日本でも、教育現場や企業の研修で取り入れられることが増えてきました。

ポイントは、「怒らない人になる」のではなく、「怒る必要があるときには冷静に怒り、怒る必要がないときはスルーできるようになる」こと。つまり、自分の怒りを見きわめて、行動を選べるようになることが目標なんです。

人はなぜ怒るの?

人が怒る理由はさまざまですが、大きく分けて3つのきっかけがあります。

① 妨害されたとき

やりたいことを邪魔されたときにイライラするのは自然なこと。たとえば、ゲームをしていたら突然Wi-Fiが切れてしまったり、友達との約束をドタキャンされたりすると、「なんで!」と怒りがわいてきます。

② 不公平だと感じたとき

がんばってテストで良い点をとったのに評価されなかったり、他の人だけが特別扱いされていたりすると、「それってズルい」と感じて怒りにつながります。

③ 期待が裏切られたとき

「友達なら助けてくれると思ったのに」「先生ならわかってくれると思ってたのに」という期待が裏切られると、人は強い怒りを感じます。

怒りの元には「こうあるべき」という自分の考え(価値観)があります。それが通らないと、「なんでそうなるの?」と腹が立ってしまうのです。

怒りをコントロールする方法

では、怒りの感情をうまくコントロールするにはどうすればよいのでしょうか?アンガーマネジメントにはいくつかの実践的な方法があります。

① まずは6秒待つ「6秒ルール」

怒りのピークは6秒間といわれています。つまり、その6秒間をやりすごせば、少し冷静になれるということ。深呼吸をしたり、コップの水を一口飲んだりしてみましょう。

ポイントは、「その場で反応しない」こと。すぐに怒りの言葉を口にせず、「いま自分、怒ってるな」と一歩引いて見るだけでも大きな違いがあります。

② 怒りのレベルをはかる

怒りにも「レベル」があります。たとえば、

  • レベル1:ちょっとムッとする
  • レベル5:イライラして落ち着かない
  • レベル10:怒鳴りそう、手が出そう

こうして自分の怒りを「見える化」することで、行動を選びやすくなります。「これはレベル3だから、今すぐ怒る必要はないかも」と考えられるようになります。

③ 自分の「べき」を見つめなおす

「時間どおりに来るべき」「ちゃんと謝るべき」など、自分の中の「こうするべき」が強すぎると、ちょっとしたことで怒りが爆発してしまいます。

でも、よく考えてみると、それは「自分のルール」であって、相手が同じように考えているとは限りません。「まあ、そういう人もいるか」と受け流すことで、怒りの感情を小さくできます。

④ 書き出してみる

怒ったときの気持ちや出来事をノートに書いてみると、自分の気持ちが整理されます。さらに、書いた紙をビリビリに破ったり、ゴミ箱に捨てたりすることで、怒りがスッキリするという研究結果もあります。

⑤ 体を動かす・趣味に打ち込む

モヤモヤした気持ちをそのままにしないで、運動をしたり、音楽を聴いたり、ゲームに集中したりするのも立派なアンガーマネジメントです。怒りのエネルギーをうまく他のものに変える工夫が大切です。

怒りと上手につきあおう

怒りは悪者ではありません。でも、怒りにふりまわされると、人間関係や自分の気持ちまでぐちゃぐちゃになってしまいます。

アンガーマネジメントを学ぶことで、「自分の感情に気づき、上手につきあう力」が身につきます。それは、友達や家族との関係を良くしたり、自分を大切にしたりすることにもつながります。

「ムカッとしたとき、どうすればいいか」――それを知っている人は、心の中に「感情のブレーキ」を持っている人です。あなたもぜひ、アンガーマネジメントを生活の中で意識してみてくださいね。

主な参考文献

  1. Baron, R. A., et al. (2022). Anger and its management: A psychological approach to emotional regulation. Current Psychology, 41, 121–134.
  2. Novaco, R. W. (1975). Anger control: The development and evaluation of an experimental treatment. Lexington Books.
  3. Blair, R. J. R. (2012). The roles of orbitofrontal cortex in the modulation of antisocial behavior. Brain and Cognition, 84(1), 204–210.
  4. Deffenbacher, J. L., et al. (2002). Cognitive-behavioral conceptualization and treatment of anger. Journal of Clinical Psychology, 58(3), 295–309.
  5. Sukhodolsky, D. G., et al. (2004). Cognitive-behavioral therapy for anger in children and adolescents: A meta-analysis. Aggression and Violent Behavior, 9(3), 247–269.
ABOUT ME
ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
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ずっとピースらぼ管理人のわんぞーです。イギリスの大学院で平和学を学び、その後国際協力の専門家や大学の教員として仕事をしてきました。平和と紛争について中学生や高校生にもわかりやすい内容を届けることで、少しでも争いのない世界になればいいな、と思っています。 At Eternal Peace Lab, we aspire to contribute to a world without conflict by providing accessible content about peace for both students and adults.
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