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幸せってなに? 幸福の定義

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「幸せになりたい」—これは、きっと多くの人が思うこと。でも、「幸せって何?」と聞かれたら、どう答えますか?
美味しいごはんを食べたとき? 大切な人と過ごすとき? 夢が叶ったとき?

今回は、「幸せ(幸福)」の意味について、いろいろな学問や世界の文化の視点から考えてみたいと思います。幸せってなんだろう?を一緒に探っていきましょう。

幸せのいろんな見方:哲学や心理学から

まずは、学問の世界で「幸せ」がどう考えられているかを見てみましょう。

哲学では「良く生きること」が幸せ?

昔のギリシャの哲学者アリストテレスは、「幸せとは、自分の能力を発揮して、よい生き方をすること」だと考えていました。これをエウダイモニア(eudaimonia)といいます。

つまり、ただ楽しいことをするだけでなく、「人としてどう生きるか」が大事だという考え方です。

一方で、19世紀の哲学者ベンサムやミルは、「幸せとは快楽や楽しさを感じること」と考えました。できるだけたくさんの人が、できるだけ多くの幸せを感じることが大事という考え方です。

心理学では「自分がどう感じるか」が大切

心理学では、「主観的幸福感」という考え方があります。これは「自分の人生に満足しているか」「ポジティブな気持ちが多いか」「ネガティブな気持ちが少ないか」という3つの要素で測られます。

最近では、ポジティブ心理学という分野も登場し、幸せを感じるために必要なこととして、

  • 楽しい感情(喜び、感謝など)
  • 人とのつながり
  • 目標ややりがい

などを重視するようになっています。

世界の人たちは「幸せ」をどう考えている?

「幸せの感じ方」は、文化や国によって違うこともあります。ここでは、いくつかの国や地域の考え方を見てみましょう。

北欧の国々(フィンランド、デンマークなど)

毎年発表される「世界幸福度ランキング」では、北欧の国々が上位を占めています。そこでは、

  • 国の制度がしっかりしている(福祉や医療)
  • 他人を信じられる(社会的な信頼)
  • 自由に生き方を選べる

といったことが、人々の幸せにつながっています。

「安心して暮らせる社会」があることが、幸せのベースになっているようです。

アメリカ:夢や成功が幸せ?

アメリカでは、「自分の夢を実現すること」や「仕事でやりがいを感じること」が幸せとされています。また、家族との絆を大切にする人も多いです。

「自分らしく生きること」が重視される文化だからこそ、自分の目標に向かって努力することが幸せだと感じる人が多いようです。

日本やアジアでは「穏やかさ」が大事?

日本や中国、韓国などのアジアでは、「心の平穏」や「静かな喜び」を大切にする人が多いです。

たとえば、

  • 家族や周囲と調和していること
  • 日常の中の小さな楽しみ(ごはん、温泉、自然)

といった、落ち着いた幸福感が好まれる傾向があります。

「目立つ幸せ」より「静かな幸せ」が大事、という感覚ですね。

ブータン:国の目標が「幸せ」!

ブータンという南アジアの小さな国では、「国民総幸福(GNH)」というユニークな考え方があります。これは、ただお金があるかどうかではなく、

  • 文化を大切にしているか
  • 環境が守られているか
  • 心の健康が保たれているか

など、いろいろな角度から「幸せ」を考えています。

「幸せは、心と社会のバランスが大事」という考え方ですね。

いろんな「幸せ」のかたち

ここまで見てきたように、「幸せ」という言葉にはいろんな意味があります。

  • 哲学では「よい生き方」
  • 心理学では「満足やポジティブな気持ち」
  • 文化人類学では「その国や文化に合った幸せ」
  • 政治や社会制度では「安心して暮らせる仕組み」

つまり、「幸せ」はひとつの形ではありません。
その人の生き方、考え方、育ってきた文化によって、感じ方も変わってくるのです。

幸せになるために、私たちができること

最後に、「どうすれば幸せになれるの?」という問いについて考えてみましょう。

すぐに答えは出ないかもしれませんが、こんなことを意識するだけでも、少しずつ幸せに近づけるかもしれません。

  • 自分にとって大切なものは何かを考える
  • 他の人とつながりを持つ
  • 小さな感謝や喜びを見つける
  • 無理に「成功」を求めすぎない
  • 時には休む、立ち止まる

「幸せ」はどこか遠くにあるものではなく、意外と近くにあるものかもしれません。
毎日の中のちょっとしたこと、誰かとの会話、安心して過ごせる時間—
そんな「当たり前」が、実はとても大切な幸せなのです。

まとめ

「幸せってなに?」という問いに、正解はありません。でも、いろんな学問や国の考え方を知ることで、「自分にとっての幸せ」が少し見えてくるかもしれません。

大切なのは、「みんなと同じじゃなくてもいい」ということ。
あなたの感じる「幸せ」は、あなただけのものです。
その「幸せ」を大切にしながら、自分らしく生きていけたら素敵ですね。

主な参考文献

Diener, E., et al. (2016). Subjective well-being: The science of happiness and life satisfaction. Frontiers in Psychology, 7, Article 30.

Helliwell, J. F., et al. (2023). World Happiness Report 2023. Sustainable Development Solutions Network.

Mathews, G., et al. (2009). Pursuits of happiness: Well-being in anthropological perspective. Berghahn Books.

Seligman, M. E. P., et al. (2011). Flourish: A visionary new understanding of happiness and well-being. Free Press.

Stanford Encyclopedia of Philosophy. (n.d.). Happiness.

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ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
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ずっとピースらぼ管理人のわんぞーです。イギリスの大学院で平和学を学び、その後国際協力の専門家や大学の教員として仕事をしてきました。平和と紛争について中学生や高校生にもわかりやすい内容を届けることで、少しでも争いのない世界になればいいな、と思っています。 At Eternal Peace Lab, we aspire to contribute to a world without conflict by providing accessible content about peace for both students and adults.
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