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幸せは精神的なものではなく身体的なもの? 幸せホルモンの増やし方を学ぼう

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「幸せは、心で感じるもの」
そう思っていませんか?
実は“幸せ”は脳の中でつくられている、れっきとした「身体の反応」なのです。

今回は、そんな「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質に注目して、私たちがもっと元気に前向きに生きるためのヒントをわかりやすく紹介します。

「幸せ」は脳内ホルモンのしごと?

私たちが「楽しい!」「うれしい!」と感じるとき、脳の中では特定の化学物質が分泌されています。
それがいわゆる「幸せホルモン」と呼ばれるもので、感情や行動、体調にまで影響を与えています。

幸せは「気の持ちよう」だけじゃない

気分が沈んでいるとき、「前向きに考えよう」と無理に思っても、うまくいかないことがありますよね。それは、脳内のホルモンバランスが乱れているせいかもしれません。
だからこそ、ホルモンの仕組みを理解して、日常の中でうまく働かせることが大事なのです。

幸せホルモンの種類と働き

脳内で「幸せ」を感じさせてくれる代表的なホルモンを4つ紹介します。

① セロトニン:心を落ち着かせるホルモン

  • 働き:安心感や落ち着きをもたらし、感情の安定をサポートする
  • 不足すると:不安やイライラ、うつ症状につながりやすい
  • 増やす方法
    • 朝日を浴びる
    • リズム運動(ウォーキング、ヨガ、呼吸法など)
    • トリプトファンを含む食べ物(大豆製品、バナナ、卵など)

② ドーパミン:やる気と快感を生むホルモン

  • 働き:何かを達成したときの「うれしい!」という快感や、やる気、集中力に関係する
  • 不足すると:意欲の低下、無気力、集中できない状態に
  • 増やす方法
    • 小さな目標を立てて達成する
    • 好きな音楽を聴く
    • 運動やゲーム、読書など「好きなこと」をする

③ オキシトシン:愛情と絆のホルモン

  • 働き:人とのつながりを感じたときに分泌され、信頼や共感を深める
  • 不足すると:孤独感や不安が強まりやすい
  • 増やす方法
    • 人とスキンシップ(握手、ハグ)
    • ペットとふれあう
    • 誰かに親切にする、感謝を伝える

④ エンドルフィン:痛みをやわらげるホルモン

  • 働き:ストレスを和らげ、痛みを軽減し、気分を高める
  • 不足すると:ストレスや痛みに敏感になり、気分が落ち込みやすくなる
  • 増やす方法
    • 有酸素運動(ランニング、ダンス)
    • 笑う(面白い動画を見るなど)
    • 達成感を感じる

幸せホルモンを増やす生活習慣

どのホルモンも、特別な薬などを使わずに、日常的な工夫で自然に増やすことができます。

朝起きたら太陽を浴びよう!

セロトニンの分泌は朝日によってスタートします。
カーテンを開けて朝の光を浴びるだけで、体内時計が整い、心もすっきりします。

「小さな達成」を積み重ねよう!

勉強でも部活でも「1ページ進めた」「単語を3つ覚えた」など、小さな成功体験がドーパミンを刺激し、やる気をアップさせます。

つながりを大切にしよう

友達と笑い合ったり、家族に「ありがとう」を言ったりするだけで、オキシトシンが分泌されます。
「人とのつながり」こそが、幸せの源なのです。

「気持ちだけ」ではない幸せのつくり方

「つらいときはポジティブにならなきゃ」とがんばりすぎると、かえってつらくなることもあります。
でも、体のケアや日常の工夫で幸せホルモンを増やすことで、自然に心が軽くなることもあります。

幸せは、精神的なものではなく「脳の仕組み」によってつくられるもの。
だからこそ、自分の身体と向き合うことも大切なのです。

まとめ:幸せはつくれる

  • 幸せは「脳の化学反応」である
  • 幸せホルモン(セロトニン、ドーパミン、オキシトシン、エンドルフィン)を増やすことで、前向きな気持ちになれる
  • 食事、運動、人とのつながりなど、日常の工夫でホルモンを整えることができる

心がつらくなったら、「脳のホルモンバランスが乱れているんだ」と考えてみてください。
原因が精神的なものではなく、身体的なものだと考えれば、気持ちが楽になって対処もしやすくなるはずです。

主な参考文献

  • Young, S. N. (2007). How to increase serotonin in the human brain without drugs. Journal of Psychiatry & Neuroscience, 32(6), 394–399.
  • Panksepp, J. (2005). Affective neuroscience: The foundations of human and animal emotions. Oxford University Press.
  • Carter, C. S. (1998). Neuroendocrine perspectives on social attachment and love. Psychoneuroendocrinology, 23(8), 779–818.
  • Boecker, H. et al. (2008). The runner’s high: Opioidergic mechanisms in the human brain. Cerebral Cortex, 18(11), 2523–2531.
  • Feldman, R. (2012). Oxytocin and social affiliation in humans. Hormones and Behavior, 61(3), 380–391.
ABOUT ME
ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
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ずっとピースらぼ管理人のわんぞーです。イギリスの大学院で平和学を学び、その後国際協力の専門家や大学の教員として仕事をしてきました。平和と紛争について中学生や高校生にもわかりやすい内容を届けることで、少しでも争いのない世界になればいいな、と思っています。 At Eternal Peace Lab, we aspire to contribute to a world without conflict by providing accessible content about peace for both students and adults.
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