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誰も望んでないはずなのに、どうして戦争が起こるの? 「戦争プロパガンダ」から身を守ろう

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「戦争なんてしたくない」―そう思っている人が多いはずなのに、どうして世界ではいまだに戦争が起こってしまうのでしょうか?
私たちの多くは平和を望んでいます。家族と過ごしたり、友達と笑い合ったり、安心して生活することの方がずっと大切なはずです。

でも、現実にはニュースで「戦争」「紛争」「軍事衝突」という言葉を目にしない日はありません。
それはなぜなのか。
今回は、その背景にある「戦争プロパガンダ」について、できるだけわかりやすく紹介します。そして、どうすればその影響から自分の心を守ることができるのかを考えていきましょう。

「プロパガンダ」って何?

「プロパガンダ(propaganda)」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、特定の考え方や意見を広めるために、情報を使って人々の考えや感情を操作しようとすることを言います。

もちろん、すべてのプロパガンダが「悪い」とは限りません。たとえば、選挙のときに自分の政策をアピールすることも、ある意味ではプロパガンダの一種です。
でも、「戦争プロパガンダ」となると話は別。
人々が本当は望んでいないはずの戦争に、「それでもやるべきだ」と思わせてしまうような力を持っているのです。

「戦争プロパガンダ10の法則」って?

イギリス貴族のアーサー・ポンソンビーさんとベルギーのアンヌ・モレリさんは、さまざまな戦争の事例を調べて、戦争プロパガンダにはいつも同じようなパターンがあることを発見しました。
それを「10の法則」としてまとめたのが、以下のリストです。

  1. 私たちは戦争をしたくない
  2. でも敵が先に攻撃してきた
  3. 敵のリーダーは悪魔のような人だ
  4. 私たちは利益のためではなく正義のために戦っている
  5. 敵はわざとひどいことをしている
  6. 敵は「卑劣な兵器」を使っている
  7. 私たちの被害は少ないけど、敵には大打撃を与えている
  8. 有名人や知識人も戦争を支持している
  9. 私たちの正義は神や歴史に認められている
  10. この戦争に反対する人は裏切り者だ

これを見て、「あれ、最近もどこかで聞いたな…」と思いませんか?
過去の戦争だけでなく、最近のニュースやSNSでも、似たような言葉を見かけることがあるはずです。

メディアはどう関わっているの?

「プロパガンダ」が広がるとき、重要な役割を果たすのが「メディア(新聞、テレビ、ネットなど)」です。

たとえば、アメリカがイラク戦争を始めたとき、多くのニュースは「イラクは大量破壊兵器を持っている」と報道しました。
しかし、後になってそれが事実ではなかったとわかります。
でも、当時のメディアがくり返しそう伝えたことで、多くの人が「戦争もやむをえない」と信じてしまったのです。

また、戦争が始まると、メディアが「敵の残酷さ」や「自国の勇敢さ」を強調するようになります。
戦場の映像やインタビュー、ポスター、アニメや映画まで、戦争を「正しいこと」のように見せる工夫がたくさんされるのです。

民主主義の国でも戦争が起こる理由

「民主主義の国なら、みんなで話し合って、戦争は避けられるはずじゃないの?」
そう思う人も多いと思います。たしかに、戦争の決定は政府だけが勝手にできるものではなく、国民の支持が必要です。

でも、それこそがプロパガンダの出番です。
「敵が攻撃してきた」「自分たちがやらなきゃもっとひどいことになる」といったメッセージが広まると、人々の心は次第に「仕方ない」「やるしかない」と動いてしまいます。

このようにして、「誰も戦争を望んでいなかったはずなのに、気がつけば戦争を支持していた」という状況が生まれてしまうのです。

プロパガンダから身を守るには?

では、どうすれば戦争プロパガンダにだまされないでいられるのでしょうか?
その答えのひとつが、「メディアリテラシー」です。

メディアリテラシーとは、「どんな情報が流れてきても、すぐには信じず、自分で考えたり調べたりする力」のこと。
たとえば、

  • 情報の出どころはどこか?
  • 他のニュースも同じことを言っているか?
  • それは特定の誰かの利益になっていないか?
  • 感情的にさせようとしていないか?

…などを意識することが大切です。
また、SNSなどでは特に、感情的な投稿(怒りや恐怖をあおる内容)ほど拡散されやすいので、冷静に判断することが必要です。

まとめ:「戦争を防ぐ」ために、まずできること

戦争は、突然どこかから「起こる」ものではありません。
情報、言葉、感情、メディア、そして私たちの心の動きによって、「起こされる」ものなのです。

誰もが「平和がいい」と思っているはずなのに、戦争が繰り返される。
それは、私たち一人ひとりが、自分で考えることをやめてしまったときに起こるのかもしれません。

だからこそ、まずは「知ること」、そして「考えること」から始めましょう。
そして、大きな声に流されず、冷静に情報を受け取る力を身につけていきましょう。

戦争に巻き込まれないために、プロパガンダにだまされないために、今日からできることはたくさんあるはずです。

ABOUT ME
ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
ずっとピースらぼ|Eternal Peace Lab
ずっとピースらぼ管理人のわんぞーです。イギリスの大学院で平和学を学び、その後国際協力の専門家や大学の教員として仕事をしてきました。ずっとピースらぼでは、「優しい」と「易しい」の両方の意味をこめて、「やさしい平和教育」を発信しています。中学生や高校生にもわかりやすい内容を届けることで、いつの日か争いのない社会にできたらいいな、と思っています。 |Eternal Peace Lab shares information about easy-to-understand peace education. By delivering content that students can easily grasp, we hope to one day achieve world peace.
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